🌐 GCPでHTMLコンテンツを配信する方式の比較
概要: 小~中規模の静的サイト配信でよく使う5方式を、要点だけシンプルに比較します。独自ドメイン、認証・埋め込み、運用コストの観点で整理しました。
🧭 クイックサマリ
| 方式 | 向いているケース | ざっくり利点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 1) GCS + LB +(CDN) | 厳密なヘッダ制御、署名Cookie/URLなど細かい要件 | 柔軟性◎/CDNで広域配信/細かいセキュリティ制御 | LBの固定費・構成が重い/小規模だと割高になりがち |
| 2) Firebase Hosting | 静的サイトを安価・簡単に、グローバル配信 | CDN標準/SSL自動/デプロイ簡単/独自ドメイン容易 | 高度なL7制御は苦手/直リンク厳格制御は工夫が必要 |
| 3) Cloud Run +(CDN) | 動的判定や認証ゲートを自作したいとき | 任意言語・任意ロジック/スケール自動/CDN前段化 | コンテナ管理や実装コスト/コールドスタート考慮 |
| 4) App Engine | GAEに慣れている・レガシーを活用したい | マネージド実行環境/スケール自動/簡易に動的対応 | 選択肢としてはCloud Runに寄る傾向/柔軟性は中庸 |
| 5) Compute Engine + NGINX | VMで完全自由度が必要/特殊モジュール・検証用途 | 最も自由/OS~Nginxまで細部チューニング可 | パッチ・監視・スケールなど運用重い/コストも読みにくい |
結論(小規模・静的+独自ドメイン+簡易認証): まずは Firebase Hosting が最有力。
厳格な直リンク遮断や高度な前段ロジックが必要になったら Cloud Run + CDN へ拡張。
ルール細かくCDN/LBを使い分ける要件なら GCS + LB + CDN を検討。
厳格な直リンク遮断や高度な前段ロジックが必要になったら Cloud Run + CDN へ拡張。
ルール細かくCDN/LBを使い分ける要件なら GCS + LB + CDN を検討。
📦 1) Cloud Storage + 外部HTTP(S)ロードバランサ +(任意で)Cloud CDN
柔軟性
細かな制御
固定費あり
メリット
- 署名付きURL/署名付きCookie、ヘッダ・キャッシュ制御などを細かく設計可能
- Cloud CDN 併用で広域配信・TLS終端・WAFなどL7機能を組み合わせやすい
- GCSの耐久性・オブジェクト運用(バージョニング/LIfeCycle等)が活用できる
デメリット
- 外部HTTP(S) LB の基本料金が小規模だと相対的に重い
- 構成がやや複雑(DNS、LB、バックエンド、CDN、セキュリティの連携)
使いどころ: セキュリティ/配信制御を厳密に設計したい、将来の拡張余地を確保したい。
⚡ 2) Firebase Hosting(GoogleのグローバルCDN)
最短・低運用
SSL自動
静的サイトに最適
メリット
- デプロイが非常に簡単(CLIで同期)/SSL・CDNが標準
- 独自ドメイン設定が容易/キャッシュも自動最適化
- 小規模トラフィックならコスト最小で運用できる
デメリット
- L7の高度なカスタムや厳格な直リンク遮断(オブジェクト単位の署名等)は工夫が要る
- サーバサイドの動的処理は別プロダクト(Functions/Run等)と組み合わせが必要
使いどころ: 静的中心・認証は軽めでOK・スピード最優先・コスト極小で始めたい。
🧪 3) Cloud Run(コンテナ)+(任意で)Cloud CDN
自由度
認証ゲート自作
実装コスト
メリット
- 任意の言語/ランタイムで「認証クッキー検証→静的配信」などの前段ロジックを実装可
- 無停止デプロイ・自動スケール/CDN前段化でキャッシュ最適化も可能
- Functions よりも長めの処理や独自ミドルを使いたい時に適合
デメリット
- コンテナビルド・CI/CD・ランタイムの運用が必要
- コールドスタートや同時実行の設計など、アプリ側配慮が求められる
使いどころ: 厳格な直リンク遮断やきめ細かな認可、動的レスポンスを少量混在させたい。
🛠️ 4) App Engine(Standard/Flexible)
マネージド実行環境
歴史ある選択肢
メリット
- アプリをアップロードするだけでスケール・運用をGCPに委任しやすい
- 古くからあるPaaSとしての成熟度/既存資産を活かしやすい
デメリット
- 現在は Cloud Run の選択肢が強く、GAE特有の設定に縛られる場合がある
- 静的サイト単体だと過剰になりやすい
使いどころ: 既存GAE資産の延命/統合や、アプリ主体で静的を添える場合。
🧱 5) Compute Engine VM + NGINX
最大自由度
チューニング自在
運用重い
メリット
- OS・Nginx・モジュール・TLSなど全レイヤを自由に構成・最適化可能
- 特殊要件/実験/既存運用との合わせ込みには最強の柔軟性
デメリット
- パッチ・監視・冗長化・スケールなど 全て自前(運用/コストのブレが大きい)
- 小規模静的だけならオーバースペックになりがち
使いどころ: VM前提の組織標準・高度な独自モジュール・実験検証。
🧩 選び方の目安
- 静的中心+最小運用: まずは Firebase Hosting。
- 直リンク完全ガード・前段ロジック: Cloud Run +(必要に応じて)CDN。
- CDN/LBの細かい設計・WAF等: GCS + LB + CDN。
- 既存資産/GAE慣れ: App Engine。
- 完全自由度・特殊要件: Compute Engine + NGINX。
まとめ: 小規模・社内向けの静的サイトなら「Firebase Hostingで開始→必要に応じてCloud RunやGCS+CDNへ段階拡張」がコスパと運用のバランスに優れます。