🧩 ジャンボフレーム徹底ガイド
概要: 本記事では、ジャンボフレーム(一般にMTU 9000前後)について、誕生の背景、特徴、メリット・デメリット、そして Cisco Catalyst / Nexus での設定/検証方法をまとめます。データセンターやバックアップ/ストレージ(NFS/iSCSI)、東西トラフィックの最適化に有効です。
🗺️ 背景:なぜジャンボフレームが生まれたか
- ギガビット/10GbE以降でパケットあたりのヘッダ比率が相対的に高くなり、CPU割り込み/処理負荷が増加。
- 大容量ファイル転送・バックアップ・vMotion/ライブマイグレーション等でスループット最適化が必要に。
- NICのLRO/GRO、TSO等のオフロードと組み合わせ、大きいMTU=少ないパケット数で効率化。
🔍 特徴(仕様観点)
| 用語 | 説明 | メモ |
|---|---|---|
| Ethernetフレームサイズ | 通常最大1518B(FCS含む)。ジャンボはベンダ依存で最大約 9216B前後。 | 多くの機器はMTU 9000または9216を上限とすることが多い。 |
| IP MTU | IPヘッダ/ICMPヘッダを含むL3の最大サイズ。 | ICMP size はデータ部長(後述)。 |
| エンドツーエンド | 経路上の全機器が同じ(または十分大きい)MTUに対応している必要。 | 不一致は断片化/ドロップの原因。 |
🏁 何が良くなる?(メリット)
- スループット向上:パケット数減少によりCPU割り込みとプロトコルオーバーヘッド低減。
- レイテンシ/ジッタ低減(ケースによる):大量転送での効率化。
- 仮想化/ストレージの性能向上:vMotion、NFS、iSCSI、分散ストレージで効果的。
⚠️ 注意点(デメリット/リスク)
- 経路全体の整合性が必須:一部機器/IFが1500のままだとドロップやフラグメント。
- トラブルシュートが複雑化:MTU/DF、トンネル、PoE監視IF等の例外に注意。
- バッファ占有:大フレームはキュー滞留時の影響が相対的に大きい。
🛠️ Cisco Catalyst での設定
conf t
system mtu 9000
exit
copy running-config startup-config
reload ! 必要な場合のみ
🛠️ Cisco Nexus での設定
Nexusシリーズ(NX-OS)は、Catalystと異なりMTU設定が柔軟で再起動不要です。
conf t
! 全体ポリシーまたはクラスごとのMTUを設定(QoSシステムポリシーで定義)
policy-map type network-qos jumbo
class type network-qos class-default
mtu 9216
exit
system qos
service-policy type network-qos jumbo
exit
system jumbomtu 9216
! インターフェース単位の設定
interface port-channel1
mtu 9216
exit
end
! 保存
copy running-config startup-config
確認コマンド例:
show queuing interface Ethernet1/1
show interface Ethernet1/1 | inc MTU
show policy-map interface | sec jumbo
show system qos
📘 まとめ
結論: ジャンボフレームは大容量転送で顕著な効率化をもたらしますが、Catalystでは system mtu jumbo、Nexusでは policy-map type network-qos により全体の整合を確保することが重要です。